トイレをリフォームする上で、考えるべき重要なことがいくつかあります。その中で、特に重要なのが壁紙です。壁紙はトイレ内で占める面積が広いため、トイレのイメージを決める大きな要素になり、落ち着ける空間づくりに影響します。トイレの壁紙を選ぶときは、どのような選び方をすればいいのでしょうか。
トイレを理想的な空間にするための、壁紙の選び方を解説します。

トイレの壁紙を選ぶ際は、色と柄を選ぶことになります。それは単に好みで選ぶもの、というだけではありません。色や柄によって、もたらす効果は異なるのです。トイレの壁紙を考える前に、まずは色や柄のもたらす効果・特徴を解説します。

淡い色の壁紙

はじめに、淡い色の壁紙がもたらす効果について解説します。淡い色の壁紙には、圧迫感を与えず空間を広く見せる視覚的効果があるといわれています。ライトブルーの壁紙は、落ち着いた印象を与えるとともに快適な雰囲気も醸し出します。ライトグリーンの壁紙なら、安らぎを与えて爽やかな印象になるといわれています。トイレ本体は基本的に白いので、同じく白い壁紙を選ぶことで統一感が出る、またトイレカバー等のインテリアアイテムとのコーディネートがしやすくなります。
ただし、白い壁紙というのは汚れが目立ちやすくもなります。汚れを目立たせないようにしたい場合は、白以外の壁紙を選ぶ方がおすすめです。便器がピンクの場合は、同じく薄いピンクがおすすめです。
トイレはあまり広い空間ではありません。そのため、少しでも広く落ち着いた空間に見せたい場合は、淡い色の壁紙がおすすめです。

※サンゲツ壁紙

濃い色の壁紙

はっきりとした濃い色の壁紙は、明るい色と暗い色で与える印象がまったく異なります。赤や黄色のように、暖色系は膨張色なので、トイレのような狭い空間で使用すると圧迫感を感じる場合があります。これに対して、黒や青のような寒色系には、空間を引き締めて見せる効果、後退色として広く見える効果があります。また、例えば奥の壁の一面だけを濃い色の壁紙にして、残りは白い壁紙にするという方法もあります。この方法も、空間を広く見せる効果があります。黒や青であっても、一面だけ取り入れるなら、開放感を損なわず、アクセントとしておしゃれに見せることにつながります。濃い色は全体的に視覚的な刺激が強いので、壁紙を全面濃い色にしてしまうと落ち着かなく感じる場合があります。そのため、濃い色を使うのなら一面だけ、あるいは上下で色を分けて下半分だけ、という使い方をするのがおすすめです。

※シンコール　アクセントクロス

柄の壁紙・そのほかの壁紙

トイレの壁紙は、柄を選ぶのも重要です。例えば、ストライプ柄を選ぶ場合は、その色と線の太さで与える印象が大きく変わります。
はっきりとした色で幅が広いストライプ柄は、都会的でおしゃれな印象を与えます。また、淡い色と白の細い幅のストライプなら、カントリー調の落ち着いた印象を与えます。
ストライプは縦方向を強調するので、視覚効果で天井が高くみえますが、その分部屋が狭く感じる場合があります。トイレなど狭い空間で使用するには注意が必要です。
ほかにも、花柄や幾何学模様の壁紙もあれば、レンガ調やアンティーク調、木目調の壁紙などもあります。
花柄は明るく華やかな印象を与え、幾何学模様は洗練された印象を与えます。レンガ調の壁紙は、カフェのトイレのようにおしゃれな雰囲気になります。アンティーク調の壁紙はデザインが幅広いのですが、総じて上品な雰囲気です。

トイレの壁紙の選び方で、色や柄だけでなく検討したい点があります。
それは、機能性です。トイレは、毎日使う物だからこそ、日頃からお手入れを欠かすことができません。トイレは放置すると壁紙が汚れ、雑菌が繁殖したりカビが生えたりしてしまいます。また、においが取れにくくなることもあります。それらを防ぐために、壁紙の中にはさまざまな機能を持つ物があります。壁紙が持つ代表的な機能としては、以下があります。

消臭効果

トイレの壁は、時間が経つとアンモニア臭を吸収し、トイレがくさくなる原因になります。消臭効果のあるスプレーをタオルや雑巾などに吹き付けて壁を拭き掃除するのが一般的ですが、消臭効果付きの壁紙を導入すればトイレ掃除が楽になるため人気があります。
消臭効果がある代表的な壁紙として、においの原因になる「臭気ガス」と消臭剤の化学反応でにおいを吸着・消臭する「ルームエアー」、消臭性が高いフィルムをラミネートしている「リフクリーン」、悪臭原因物質を吸着し、水と二酸化炭素に分解するサイクル消臭が可能な「トリプルフレッシュ®」などがあります。(2023年1月現在）

防汚効果

尿などが飛び跳ねて壁紙に付着した汚れは、拭き取ってもなかなか落とせません。また、トイレの壁は湿気によりほこりが付着して、汚れの原因にもなります。
汚れがつきにくく、掃除も簡単になる防汚効果の代表的な壁紙としては、壁紙の表面にエバール®フィルムをラミネート加工した「フィルム汚れ防止壁紙」や、水に強いファンクレアフィルムを壁紙表面にラミネート加工した「ファンクレア壁紙」、消臭剤入りのPPフィルムをラミネートした「ダブルクリーン壁紙」などがあります。

防カビ効果

トイレは、湿気がこもってカビが発生しやすい場所です。カビの発育・繁殖を抑えてくれる壁紙を導入することで、カビの発生を最小限に防ぐことが可能になります。たとえカビが生えたとしても、その後のメンテナンスがしやすいのもメリットです。
防カビ効果がある代表的な壁紙として、カビの繁殖を抑制する「リフクリーン」、防カビ仕様の「ビニールクロス」、またはカビを撤去した上で防カビ塗料を使用した「塗装」です。なお、防カビタイプの壁紙に張り替えるだけでは、完全にはカビの発生を防ぐことはできません。カビ対策を徹底したい場合は、カビ防止の壁紙コーティングなどの工事も可能なので、リフォーム会社に確認することをおすすめします。

抗菌効果

抗菌壁紙とは、壁についた菌の増殖を抑制する機能がある壁紙を指します。汚れや外出先から持ち帰った菌の増殖を防ぐ働きがあり、病院や福祉施設、商業施設などで多く導入されています。
防菌効果がある代表的な壁紙として、壁紙表面に付着した細菌の繁殖を抑制する「リフクリーン」や、実験開始時には6,200〜2万5,000個あった菌数が、24時間後にはほぼ0に近い状態までに減少する「ペット住まいる壁紙」などが挙げられます。周囲の壁紙を防菌効果がある物にすることで、狭いトイレの壁も清潔に保つことが可能です。
なお、抗菌壁紙と似た壁紙に抗ウイルス壁紙がありますが、抗菌壁紙のみではウイルスに対する効果が期待できません。抗菌壁紙は、人体に有害な菌にのみ効果を発揮します。抗菌効果と抗ウイルス効果を併せ持つ壁紙も販売されているので、そちらを壁紙に選択するのもおすすめです。

このような機能を持った壁紙をトイレに使うことで、日頃のお手入れも簡単になります。トイレの壁紙の選び方として、デザイン性だけではなく機能性も重視して選ぶことをおすすめします。

※商品名は2023年1月現在の商品です。

トイレの壁紙は、壁紙の選び方で失敗してしまうこともあります。壁紙の張り替えには工事が必要なため、失敗してしまうと、簡単には変えることができません。
ここでは、お客様から寄せられたトイレの壁紙における失敗例をご紹介します。毎日使うトイレで残念な気持ちにならないように、まずは重視したいポイントを決めて、そのポイントを満たす壁紙にすることをおすすめします。

真っ白な壁紙を選んだら、汚れが目立つようになった

清潔に保ちたいトイレの空間に、白い壁紙を選ぶ方は多いです。ですが、真っ白な壁紙は汚れが目立ってしまうというリスクがあります。そのため、こまめに掃除をしたりして綺麗な状態を保つことが必要になります。ほかの解決策のひとつとしては、上記で紹介した機能性付きの壁紙（防汚効果のある壁紙）を選ぶことです。汚れを軽減させてトイレの掃除が楽にできるようになります。

濃い色の壁紙を選んだら、トイレの雰囲気が暗くなった

シックでカッコいい黒やブラウンなど、濃い色の壁紙ですが、狭い空間を取り入れると、圧迫感や狭さをさらに強調させることになります。そのため、トイレの雰囲気が暗く、重くなったというご相談が寄せられることもあります。特に、窓がないトイレで濃い色の壁紙を採用するのは閉塞感が増すので、注意が必要です。トイレの閉塞感が気になる方は、ベージュといった少し黄色がかった薄い色の壁紙を選ぶことをおすすめします。

カラフルな壁紙を選んだら、狭く感じるようになった

カラフルなアクセントクロスには、「視線を集める」「周囲のシンプルな機能美を際立たせる」という2つの役割があります。しかし、トイレは狭い空間のため、カラフルな壁紙を導入したのは良いものの、個性を主張しすぎてしまい落ち着かない、カタログで見た物と違うといった弊害も。元々、狭いトイレ空間で圧迫感を与える壁紙のカラーは、住む人によっては相性が合わないかもしれません。

ドアの色を考えずに選んだら、ドアと壁紙が合っていない

ドアの色と壁紙が合っていないという問題は、トイレの壁紙を主役にリフォームした場合に起こりがちな失敗例です。トイレにはドアも含めると4面の壁がありますが、ドアの色を考慮しないで壁紙を選ぶと、ちぐはぐな印象になってしまいます。毎日使用するトイレをせっかくリフォームしたのに居心地が悪く落ち着かない空間になってしまったということがないように建具の色からトイレの内装を考えていくのがおすすめです。

見た目を重視してでこぼこした床材を選んだら、汚れが溜まりやすかった

トイレは、汚れが溜まりやすく日々の掃除が必要な場所です。掃除のことを考えると、トイレの床材や壁紙はでこぼこや継ぎ目のないフラットな物をベースに選んだほうがいいでしょう。ですが、上記で挙げた機能性壁紙の中にもでこぼこした物がありますので、防汚効果など欲しい機能を満たす壁紙から選ぶのもおすすめです。

失敗も多いトイレのリフォーム。成功したトイレ内装のリフォームから、トイレの壁紙の選び方のポイントを探ってみましょう。

同系色でまとめることで統一感のある空間に

壁紙：サンゲツ RE51061

部分的なリフォームの場合、既存の物に色を合わせると雰囲気がまとまります。トイレの窓枠は既存のまま使用し、壁紙や床材の色味を薄いカラーで合わせたことでトイレ空間のカラーがまとまりました。ハイドロテクト加工もプラスしたことで、抗菌効果もプラス。カビの繁殖も防ぎます。

施工事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
[トイレ・洗面所] 施工事例 - 10異素材の組み合わせを楽しむ水廻りリフォーム

寒色系を一面のみに配置して、奥行きをプラス

壁紙：リリカラ XR-531、リリカラ XR-530、リリカラ XR-577

正面の壁一面だけに寒色系のクロスを使用して、奥行きをプラスした施工事例です。水色の壁紙は「リリカラ XR-531」、周りの壁紙は「リリカラ XR-530」、天井の壁紙は「リリカラ XR-577」を使用。同一ブランドで壁紙を統一することで、清潔感と一体感を同時にプロデュースしました。

奇抜な柄の壁紙も側面に配置することで、ちょっとした遊び心に

リフォームをきっかけに、1階のみだったトイレを2階にも新たに設置した事例です。側面の壁紙は薄いグレーのゾウ柄を選び、ちょっとした遊び心を忍ばせています。

施工事例の詳細は、こちらからご覧いただけます。
[フルリフォーム（全面改装）] 施工事例 - 33オープン階段でLDKに広がりとアクセントをプラス （全面改装）

トイレの壁紙は、デザイン性と機能性を両立させた選び方をしたいと思っても、自分で選ぶのはなかなか難しいものです。
また、トイレの壁紙といっても、実際には非常に多くの種類があります。カタログを見てその中から選ぼうと思っても、たくさんの中から一番良いと思う物を見つけるのは大変なので、専門のリフォーム会社に相談することをおすすめします。
自分が希望するデザインを伝えて、機能性のある壁紙がいいと伝えれば、リフォーム会社からぴったりな提案を受けることができます。

家族が一日のうちで最も使用するのが、トイレなどの水廻りです。水廻りを快適な空間にすることで、暮らしのグレードも一気にアップ。特にトイレは壁紙の配置にも工夫を施して、より家族がリラックスできる空間になるように検討し、リフォームすることをおすすめします。
壁紙は色や柄のみならず、機能性・デザイン性など、さまざまなポイントから自由にセレクト可能です。BXゆとりフォームのリフォームアドバイザーが、今まで数々のリフォームを手掛けてきた経験を活かして、その希望を両立させたぴったりのプランを提案させていただきます。まずはお気軽にご相談ください。